Story~パン

日常の片隅で
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新人の研修が終わるまでだから、結局2か月も出張していたことになる。
見慣れた駅を降りて商店街の定食屋さんで遅めの夕飯をとり、朝食用にコンビニでパンを買い、やっとわが家に帰宅した。

さすがに疲れていたのだろう。そのままベッドで眠ってしまい、気づいたらもう朝。遅刻寸前だ。
朝食もとらずにそのまま出勤し、その日も家に着いたのは21時過ぎだった。

麦茶でも飲もうかとキッチンに入ったところ、テーブルに置きっぱなしの昨日のパンからわたしの人差し指くらいの長さの白い脚が2本出ている。そんなに細くないし、少し骨ばっているところをみると男性のようだ。
割りばしでその脚をちょっと突いてみるが全く動かない。たぶんパンの間で窒息しているのだろう。
出張の前に、傷みそうな食品はみんな処分してしまったし、家に食べ物は殆どなかったはず。そこに久しぶりのパンだ。

パンの中がどうなっているのか怖くて確認できないまま、ビニール手袋を使い、買ったときより心持ち重くなったパンをそっとゴミ袋に入れ、近くのゴミ捨て場まで捨てに行った。

夜にゴミを出すのはちょっと気が引ける。

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